KONOJI NO IE

敷地は、愛媛でも蜜柑づくりが盛んな南予地域の盆地に位置する。東西南北山々に囲まれた計画地は、隣接して民家が立ち並ぶ場所で、畑がある南側に面する方角が唯一視覚的に開けた土地であった。建主は、室内空間の延長にあるプライベートなテラスを望んでいた。その空間で家族が繋がり、様々な活動をすることを思い描いていた。そこで、初めに敷地の南側へテラスを配置した。その場所をプライベートな空間となるように、東西の外部からの視線を遮るように諸室を配置した。そして、南側に隣接する畑の気配を消すために、外壁と同じ仕上げの壁を立ち上げた。また、２階のバルコニーがせり出すことで、テラスに軒下空間のような落ち着いた場所を提供している。その他に、天井高さを変えることで空間の質を変化させたり、機能的な動線づくりや適所に設けた採光・通風のための開口部、適材適所の収納などを施した。この家はまるで、テラスをつくるために家づくりをしたと言える。結果的に、家の外から作り始めた室内が、自ずと外に繋がる空間となった。外から内に、内から外に。建主が初めに思い描いていたイメージを、実現することが出来たと感じている。これからこのテラスを中心に、建主が日々の暮らしを楽しんでくれることを望んでいる。